続く物価高?インフレ時代の資産運用とは

続く物価高?インフレ時代の資産運用とは

近年はさまざまな要因で物価が上がり続けています。買い物や外食の際、値段が以前より高くなっていて驚きを感じた方も多いのではないでしょうか?
長らくデフレが続いた日本では、インフレ未経験の方も多いと思います。
この先どれだけインフレが進むのかは分かりませんが、インフレとはどういうものでどの様に対応すべきか考えてみたいと思います。

インフレ(インフレーション)とは?

インフレーションとは、物価(製品やサービスの値段)が上昇し続ける現象です。
インフレが進むと商品やサービスが高くなり、相対的なお金の価値が低下します。
例えば、今1万円で買える商品があったとして、インフレが10%進むと1万1千円を出さないと買えなくなります。商品自体の価値は同じにも関わらず払う金額が増える、つまり「物価が上がる」ことによって「お金の価値が目減り」してしまうのです。

インフレになるのは、景気拡大(経済成長)、商品価格上昇、円安、金融政策、海外市場など、様々な要因があります。とりわけ、昨今のインフレは、新型コロナウィルスからの景気回復、金融緩和の反動、ロシアのウクライナ侵攻による商品価格の上昇、日米金利差拡大による円安、などが主な要因と言えます。

日本のインフレはどう推移しているのか

インフレを語る上で欠かせないのが「消費者物価指数」です。
消費者物価指数とは、ある一定のタイミング(基準時)を元に、商品価格の平均的な値動きを示したものです。
消費者物価指数をチェックすることで、「基準となる年からどれくらい物価が変動しているのか」を知ることができます。

消費者物価指数の推移(1950年~2022年)

グラフを見ると、消費者物価指数は、1950年から1990年辺りまでは上昇傾向にありましたが、1990年辺りから2020年辺りは概ね横這いになっています(失われた30年?)。しかし、ここ数年はまた上昇しつつあります。

消費者物価指数(2022年6月~2023年8月)

ここ1年余りだけを見てみると、ジリジリと上昇しているのが分かります。

日本では長きにわたってデフレーション(インフレーションとは反対に物価が下がること)が続いていましたが、ここ数年でようやくインフレの動きが出てきています。日本がデフレの間も世界主要国では物価上昇(インフレ)が続いていて、日本とは物価の動きが大きく異なっています。

G7各国 消費者物価指数の推移(1988年~2023年)

身近な商品価格の上昇

昨今のインフレを象徴している商品のひとつが「たまご(鶏卵)」です。
もともとたまごは、値上がりしにくい商品として知られています。事実2018年~2022年までの値動きは最大10円と、価格が安定していました。しかし2023年に入ると、インフレによる飼料価格の高騰、鳥インフルエンザによる生産数の減少が原因で価格が上がっています。
2022年時と2023年7月のたまごの統計価格を比べると、約35%も高くなっています。ニュースやSNSでもたまごの値上がりは大きな話題となりました。

たまごの(鶏卵)の小売価格推移

※各都道府県データから全国平均を算出

価格
(全国平均)
2018年 221円
2019年 219円
2020年 218円
2021年 223円
2022年 228円
価格
(全国平均)
1月 247円
2月 265円
3月 289円
4月 298円
5月 305円
6月 306円
7月 308円

データ出典:
統計局ホームページ/小売物価統計調査(構造編)調査結果 2018年~2022年
統計局ホームページ/小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編) 2023年1月~7月

物価上昇の流れは「外食価格」でもよくわかります。例として、安くて手軽に食べられるファストフードの代表「吉野家の牛丼」の価格改定について見てみましょう。吉野家では数年に一度、原材料価格の変化や原油高などのコストを反映した価格へと改定が行われています。
2013年の牛丼並盛は280円でしたが、2023年10月2日からは468円。つまり10年間で188円(約1.7倍)の値上がりです(※店内税込価格)。

吉野家 牛丼(並盛)の価格改定の流れ

牛丼(並盛)の価格 価格改定の理由
2013年 280円 米国産牛肉の輸入条件緩和
2014年 380円 牛肉輸入価格の高騰
2021年 426円 輸入牛肉の価格高騰、原油高
2022年 448円 原材料価格高騰、物流費上昇
2023年(10月2日14時~) 468円 原材料価格高騰、物流費、人件費の上昇

※価格参照:吉野家公式ホームページより

インフレに強い資産

物価は継続して上昇しており、今後もインフレが進む可能性があります。インフレが進んでも賃金が上がらなければ、結果的に支出を少なくせざるを得ません。
現金(貨幣)はインフレで相対的な価値が下がりますので、今後はインフレに強い資産を持つことがインフレ対策として重要になると言って良いでしょう。

資産 特長とメリット リスク
株式
  • ・国内と外国の株式がある
  • ・国内株は円高時、外国株は円安時に評価額アップ
  • ・値上がり時に売却すると差益がもらえる
  • ・株によっては配当金や株主優待がもらえる
  • ・企業の業績が下がると株価も下がる
  • ・投資先が経営破綻した場合価値がゼロになる(信用リスク)
投資信託
  • ・複数の金融商品に分散投資ができる
    →手軽にリスクの低減ができる
  • ・投資のプロが自分の代わりに運用してくれる
  • ・少額から投資ができる
  • ・短期投資には向かない(長期投資向き)
  • ・運用中の管理費用がかかる
外貨建て資産
  • ・外国の株式、投資信託、債券などに外貨で投資
  • ・日本のインフレの影響を受けにくい
  • ・日本より高い金利で運用できる場合がある
  • ・株価上昇や円安時に値上がり益が期待できる
  • ・外貨投資のため円高時には価値が下がる
  • ・投資先の国の政治・経済不安で影響を受ける
  • ・為替手数料がかかる

金融商品のうち、株式や投資信託、外貨建て資産はインフレに強い性質を持っています。ただ、それぞれメリットとデメリットがあるため、両方を把握し、どこまでのリスクを許容できるか判断することが大事です。

生活の中でインフレが感じられ、将来のお金が心配になったら、インフレに強い金融商品を資産運用に取り入れてみてはいかがでしょうか?